子どもって本当に変化が早いものです。
ついこの前まで「セミを探しに行く!」とキラキラした目で言っていた娘が、いざ本物のセミを見た瞬間、まさかの全力撤退。
あれほど楽しみにしていたのに、一瞬で「虫嫌い」になってしまいました。
今回はそんな娘の虫とのエピソードを交えながら、「なぜ男の子は虫好き、女の子は虫嫌い」というイメージがあるのかを考えてみたいと思います。
目次
セミとの初遭遇、そして同時撤退
ある夏の日、近所を散歩していたときのこと。木の幹に止まっているセミを見つけた娘は、目を輝かせて近づいていきました。こちらも「お、いいじゃん。夏らしい体験になるぞ」と胸の内でガッツポーズ。
ところが次の瞬間、バサバサッ!と大きな羽音とけたたましい鳴き声。セミが勢いよく飛び立つと、娘も同時に小走りで逃走。まるで二人三脚のスタート合図みたいに見事なシンクロでした。
笑い話にしてしまいましたが、この日を境に、娘は明確に「虫嫌い」というモードに入りました。
パパの「虫スキル」もブランクだらけ?
子どもの頃の私は虫かご片手に草原を駆け回るタイプ。カブトムシやバッタを夢中で追いかけていたのに、今は虫に触れる機会がほとんどありません。
もし娘に「パパ、捕まえて!」と網を渡されたら……「任せとけ!」と強がってみせる物の、内心ドキドキかも、、笑
昔はできたことでも、ブランクがあると急にハードルが上がるものですね。
そして頭の片隅で思うのは、「男の子パパは、今も一緒に虫取りに付き合っているのかな。すごいなぁ」というリスペクト。かつて虫少年だった自分にも、軽くプレッシャーがかかります。
保育園ではジェンダーレスに虫観察
一方、保育園では面白い光景が広がっています。虫かごの前では、男の子も女の子も関係なく、みんなで眺めたり、餌をあげたり。大人の価値観があまり入り込まない場では、「虫=男の子の遊び」という区分は薄れるのかもしれません。
このあたりに、後述する「社会的な刷り込み」のヒントがあるような気がしています。
虫回避行動、だけど、ちょっと心配
セミの一件以来、娘は虫がいそうな場所をなるべく避けるようになりました。草むらや植え込みに近づかないのは良いのですが、道路では車道側に寄ってしまうことも。ここは笑い事にできない、安全面での心配ポイントです。
「虫は怖い、でも歩かなくちゃ」というちいさな葛藤が伝わってくるからこそ、親としては、安全第一のルール(車道側はパパ・ママ、歩道側に子ども/草むらは距離を保って観察など)を丁寧に共有していこうと思います。
なぜ「男の子は虫好き・女の子は虫嫌い」に見えるのか?
なんで男の子は虫好きな子が多いのに、女の子は苦手な子が多いんだろうとちょっと不思議に思いました。
決して、統計を取ったわけではないですが、なんとなくそういう印象がありますよね。
それでちょっと理由を考えてみました。
どれか一つが絶対というより、複数の要因が合わさって印象が形作られている気がします。
- 社会的な刷り込み:絵本やアニメ、おもちゃ売り場の演出で「虫取り=男の子」の図柄が多い。無意識にロールイメージを学習しやすい。まさに私が印象で語っているのがそうですね。
- 大人の反応の鏡写し:近くの大人が「キャー!」と反応すると、子どもも「虫=怖い」を素早く学ぶ。特に身近な大人の態度は強い教材。男の子はパパと、女の子はママと一緒にいることが多いというのもあるのかな?
- 発達段階での現物インパクト:絵や動画では平気でも、突然飛ぶ・大きな音・予測不能な動きは実物ならでは。初遭遇で「無理!」になるのは自然。実際に図鑑で見るセミからはあの鳴き声も急に飛んでくる迫力も感じられないですよね。
- (仮説としての)進化心理学的傾向:小さな危険生物に敏感である傾向がある、という説も。ただし個人差の方が大きい印象。
要するに、「生まれつきの確定的な差」というより、環境・経験・周囲の反応の積み重ねが大きいのだろうな、というのが今の実感です。
番外編:いなごの佃煮は平気なのに、虫取りは腰が引ける件
旅行先でお土産感覚でいなごの佃煮を買ってみたんです。
結果、手を伸ばしたのはパパだけ。妻から「買うならパパが全部食べてよね!」と完全拒否!
私は普通に食べられました。なんならサクサクしていて、結構おいしいんです。
……なのに、娘から「パパ、セミ捕まえて!」と言われると一瞬ひるむ。
なのに、虫を食べているくせに虫を捕まえるのに不安に感じているなんておかしいですよね。笑
自分で自分にツッコミを入れつつ、笑ってしまいました。
虫嫌いでも、ぜんぜん大丈夫
「女の子だから虫嫌いで惜しい」とは思いません。
セミを追いかける夏も、花を愛でる夏も、どちらも素敵な子ども時間。
無理に好きになる必要はないし、距離の取り方だって立派な学びです。
もしまた興味が戻ってきたら、そのときに少しずつ「安全な距離での観察」から。絵本、標本、動画、博物館など、触らない虫体験の選択肢はいくらでもあります。タイミングは子ども発信でいい。
おわりに:親もアップデート中
子どもの「好き」「嫌い」は、天気のようにコロコロ変わります。昨日まで大好きだったものが、今日にはもう心の外。今回の「虫事件」もその一コマでした。
親としては、娘の感じ方を尊重しつつ、安全だけはしっかり守る。私はというと、いつかまた出番が来たときのために、眠っている虫スキルをそっとメンテナンスしておこうかな……と思いつつ、当面は網を持たず、遠くでセミの声を楽しむ夏になりそうです。